2017/07/11

犬種別レスキューという考え方

確かこの記事を書いたきっかけのひとつがSNSで偶然見かけた言葉でした。「犬種別レスキューというのがあると初めて聞いたけど、自分の好きな犬種だけしか助けたくないって感じがする。」という内容で、違うの!犬種別レスキューってそういうものじゃないの!って誤解を解きたかったんですね。

そしてメインの理由はこちら。「動物保護活動にビジネス的な視点を取り入れる大切さ」を訴えたかった。
これは今もずーっと言い続けていることで、文字にして発信したのはこの記事が初めてだったと思います。
今は日本でも発信するイメージにまで気を配り、資金調達も効率良い方法を取る保護団体が増えてきたけれど、この記事を書いた2011年はまだまだごく少数でした。
東日本大震災が起きた年だったから、日本の保護団体の多くはそんななりふり構っていられないという状態でもあったんですけれどね。でも、そんな時だからこそ、こういう考え方も紹介したいと思ったんですね。

「ビジネス的視点」の話は、何度か書いているのですが、このブログでは順番を変えてこの記事の後に続けてまとめようと思っています。

共感をいただけたら、シェアなどしていただけると嬉しいです。


(以下、dog actually 2011年10月24日掲載記事より)
(photo by paulicek0 )

一般的にシェルターやレスキュー団体から犬を引き取るというと「雑種犬しかいないのでは?」「私には特定の好きな犬種があるから無理。」というイメージが強いかもしれません。
しかしHSUS(米国動物保護協会)の調べによると、アメリカのシェルターにいる犬達のうち4頭に1頭は純血種であると言われています。
そしてそれら特定の純血種をメインに預かる犬種別のシェルターやレスキュー団体が数多く存在します。公営・私営を問わずシェルターの中には純血種の犬が入って来ると、当該犬種専門のレスキュー団体に連絡を取って一時預かりの家庭を探してもらうプログラムを設けているところも多く、犬種別のレスキューという考え方は深く浸透しています。
これは決して雑種よりも純血種の方が助ける価値があるからなどということではなく、犬のレスキュー活動にもビジネスにおけるマーケティングのような考え方を取入れることで、より効率良く多くの犬を助けられるようにという発想から来ています。
犬種別のレスキュー団体の多くは全国の同犬種の団体とのネットワークを構築しており、時には州を超えて一時預かりや里親探しに協力し合っています。これらのネットワークはアメリカンケネルクラブのParent Clubと呼ばれる犬種ごとのブリーダーのクラブがもとになっていることが多く、現在150以上の犬種のクラブが存在します。レスキュー活動や動物福祉の場面においてはあまり評判の芳しくないAKCですが、当初の犬種別レスキュー活動はAKC登録のブリーダー達がメインになって行っていました。

なぜ犬種別のレスキュー活動が効率が良いか?ジャックラッセルテリアのレスキュー団体ネットワークRussell Rescue Inc.(以下RRI)を例にとってご紹介いたしましょう。
(photo by nataaliaml )
dog actuallyでもおなじみ。「一筋縄ではいかない犬種」の代表、ジャックラッセルテリア

RRIでは全国の一般シェルターに、ジャックラッセルテリアまたはそのミックス犬が保護された際、ネットワーク本部への連絡を依頼しています。連絡があれば、該当する地域の一時預かりボランティアがシェルターから犬を引き取り、里親が見つかるまでの世話をすることになります。一般シェルターも、こうして犬が引き出されることでスペースに空きができて新しい犬を保護することができ、殺処分を回避することができます。
一時預かりの家庭や専門シェルターが見つからない場合もRRIのウェブサイトには地域別に「○○地域の××シェルターに3歳のオスのジャックラッセルが保護されています。」と言った情報が写真とともに公開されます。ボランティアの家庭などで一時預かりされている犬達の情報ももちろんサイトで見ることができます。
つまりジャックラッセルを家庭に迎えたいと思っている人はRRIのサイトを訪れると、どこにどんな犬が保護されているかを簡単にリサーチできるというわけです。
これは近所のシェルターに行ってみてジャックラッセルがいるかどうか探してみるよりもずっと効率がよく、犬達にとっても早く新しい家庭を見つけることができて一石二鳥。
さらに犬種別レスキュー団体の人達はその犬種と長年付き合い続けているので、リハビリやトレーニングをする際、どんなことに気をつけなくてはいけないか熟知しているというメリットもあります。
このdog actuallyの中でも史嶋桂さんがいつも書いていらっしゃるように、ジャックラッセルテリアのような初心者向けではない犬種というのは、特にこのような知識と経験豊富な人が仲介に入ることは重要です。
RRIのサイトでは「ジャックラッセルを家族に迎える前に」として「これでもか!」と言うくらいに注意事項の長いリストをあげています。(※注 このリスト、現在はRRIのサイトにもう掲載されていません。)
元々は猟犬であることから来る性質や行動、並外れた運動能力と体力・・・・ジャックラッセルは本当にあなたのライフスタイルに見合った犬ですか?と。
これは他の犬種でも同じで、ジャーマンシェパードやポインター、ボーダーコリーなど、「あなたは本当に彼らが必要とするものを与えることができますか?」と問いかけ、多くの場合家庭訪問をして犬を譲渡するかどうかを見極めます。
(面白いなと思うのは「犬があなたにふさわしいか」ではなくて「あなたが犬にふさわしいか」が問われるところですね。自分自身を振り返っても、ちょっと耳が痛いような気がします。)
このように、特定の犬種を求める人のために必要な情報を提供し、犬のためにも人のためにも相応しい縁組みを見つけやすくなるのが犬種別レスキューの一番のメリットです。
最初にも書きましたように、犬種別レスキューというのは決してその犬種以外の犬はどうでもいい、その犬種だけを助けたいという気持ちから作られているわけではありません。多くの団体はその犬種のミックス犬も対象にしており、時には全く別の犬種を預かることもよくあります。
一般シェルターでは、犬種レスキューに犬が引き取られて空きが出ることで、より多くの他の犬達を収容しておけるというメリットがあります。
「ニーズのあるところに必要な情報やものを」というビジネスマーケティングの基本に乗っ取った活動、そのうちのひとつが犬種別レスキューです。
ビジネス戦略の考え方をアニマルレスキューに応用するということ、犬種別レスキューの他にも色々あるのですが、これはまた機会を改めてご紹介したいと思います。

【参考サイト】

0 件のコメント:

コメントを投稿

シーザーさんとAmazonのコラボ企画Audible for Dogs

SNSでシーザー・ミラン氏をフォローしてる方は、ここ数日Audible for Dogsというトピックがいくつかポストされているのに気づかれたかと思います。 (illustration by mohamed1982eg ) 犬のためのオーディオブックセレク...