2017/06/19

IT企業創設者のレスキュー活動

2011年に書いた記事です。
この記事で紹介したMaddie's Fundというのはアメリカの動物保護活動を語る時に絶対に外せない大きな大きな存在です。何しろ、ちょっと大きなチャリティイベントの協賛や主催者の名を見ると、Maddie's Fundの名を見ないことの方が少ないくらいですから。

動物好きな人が「もしも私が億万長者になったら、犬や猫のサンクチュアリを作りたい」という言葉はよく見聞きしますが、Maddie's Fundはまさにそんな夢が、さらに進化した形で現実になったものです。巨額の財の使い途、こういうのはかっこいいですよね。

(以下、dog actually 2011年10月11日掲載記事より)
(photo by Maddie's Fund)
マスコットの向かって右の男性がマディー基金創設者のデイブ・ダフィールド氏


世界屈指のハイテク企業が軒を連ねるアメリカのシリコンバレー。その有名IT企業の設立者の中に、アメリカのアニマルレスキューの世界で尊敬され、愛されている人物がいます。
それは人事管理ソフトウェアなどで一躍名を馳せたピープルソフトという会社の設立者の一人デイブ・ダフィールド氏です。
(ピープルソフト社は2005年にオラクル社に買収されています。)

ダフィールド氏には10年をともに過ごした愛犬、ミニチュアシュナウザーのマディーがいました。(上の写真の着ぐるみのマスコットはマディーなのですね。)
会社を設立したばかりの頃、彼はマディーを抱き上げこんな約束をしました。
「もしもこの事業がうまく行ったら、僕はそのお金をお前やお前の仲間達のために使うことにするよ。たくさんの犬と人が僕たちみたいに幸せになれるようにね。」
果たして、ダフィールド氏はシリコンバレーの大成功者の一人となり、巨額の財を成したわけです。

マディーはすでに天に召されていましたが、ダフィールド氏と妻のシェリルさんは、マディーとの約束を守りました。サンフランシスコ動物虐待防止協会をサポートするために3億ドル超の基金を設立し、それを「マディー基金」と名付けたのです。


(photo by Maddie's Fund)
この犬もマディー基金によって救われた犬の一匹。


サンフランシスコ市は動物の守護聖人とされる聖フランシスコの名を冠する街だけあって、動物保護にはたいへん熱心に取り組んでいます。1995年にサンフランシスコ動物虐待防止協会の代表は「この街においては、公営私営の別を問わず、全てのシェルターで健康な犬や猫の殺処分をしないことを目標にする。」と宣言しました。とは言え現実は厳しく、理想の実現への道は遠いものに思われていました。

しかし、2005年にサンフランシスコ市内にたいへん大規模な虐待防止協会のシェルターが設立されて事態はがらりと変わりました。協会は市の公営動物シェルターと「アダプション協定」を結び、保護後一定期間を経ても引き取り手の現れなかった動物を、可能な限り協会やその他の私営のシェルターに移動させるというシステムを確立しました。

この協定により、従来ならば健康であるのに殺処分せざるを得なかった犬や猫の命が飛躍的に多く救われることとなりました。

その大規模なシェルター設立に使われたのがもちろんマディー基金からの資金です。シェルターの名前は「マディーズアダプションセンター」
清潔でお洒落な雰囲気のアダプションセンターには、見学者、譲渡希望者、ボランティアなど多くの人が出入りし、活気に満ちています。

マディー基金のレスキュー活動サポートはサンフランシスコのみにとどまらず、今やアメリカの多くの都市にシェルターを建設したり、シェルターの医療設備の改善などを続けています。ただ単に団体にお金を寄付するのではなく、マディー基金では動物達の環境を改善し、健康な動物を殺処分にしなくてよいシステムを構築するために、お金の使い方については非常に注意深く検討されています。

ダフィールド氏とシェリルさんのご夫妻に「すべての犬がマディーのように幸せになれるように。」との願いを授けたマディーの姿はこちらです。



現在ではマディー基金はアメリカの全域で動物保護活動への支援、シェルター医療や教育システムへの補助金といった形で活動を行っています。
3億ドルという巨額の資金が単なる寄付ではなくて、基金設立という形で使われたことで、その運用益や寄付金などで1994年の設立以降ずっと継続して全米の保護活動への支援が行われています。


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